膝が痛いのにスクワットは逆効果?筋トレ指導で見落とされる「身体の使い方」


膝が痛いと、「太ももの筋肉を鍛えましょう」「スクワットをしましょう」と言われることは少なくありません。

実際、太ももの前側にある大腿四頭筋は膝関節を支える重要な筋肉です。

しかし、「膝が痛いならスクワットをすればいい」
という単純な話ではありません。

膝の状態や身体の使い方によっては、同じスクワットでも負担が大きくなり、痛みが強くなるケースもあります。

この記事では、ボディワークの現場で実際にあった事例をもとに、「膝が痛い方の筋トレ」で大切な考え方をご紹介します。

実際のご相談「痛いけれど頑張ってスクワットをしています」

先日、個人セッションに来られたのは後期高齢者の女性でした。

「病院で『太ももの筋肉を鍛えましょう』と言われたので、毎日スクワットをしています。」
そうお話しくださいました。

実際にスクワットを見せていただくと、一般的な深く腰を落とすスクワット。
フォーム自体が間違っているわけではありません。

しかし、その方の膝の状態を考えると、少し負担が大きい印象でした。

さらに、ご高齢の方には、

  • 「先生に言われたことだから。」
  • 「痛いと言うのは申し訳ない。」

そんなお気持ちから、違和感があっても続けてしまう方が少なくありません。

 

そこで、

  • 腰を落とす深さを調整する
  • 痛みが出ない範囲を一緒に確認する
  • 座ってできる筋力トレーニングを追加する
  • 膝への負担を減らす上半身の運動も組み合わせる

という形で、その方専用のプログラムをご提案しました。

 

  • 「これくらいだとどうですか?」
  • 「痛みや違和感はありませんか?どんな小さなことでも教えてくださいね。身体の感覚はご本人しか分かりません。教えていただけることで、より安全で、その方に合った運動をご提案できるんです。」

そうお声掛けすると、少し安心されたような表情を見せてくださいました。

 


筋トレは「量」より「身体に合っているか」

筋トレは健康づくりに欠かせません。

一方で、

  • 回数を増やせばいい
  • 毎日やればいい
  • みんな同じメニューでいい

というものでもありません。

例えばスクワット一つとっても、

  • 深くしゃがむか
  • 浅くしゃがむか
  • 支えを使うか
  • 椅子を利用するか

によって膝への負担は大きく変わります。

重要なのは、
「今の身体に合っている負荷かどうか」
です。

 


なぜ膝だけ鍛えても改善しないことがあるのか

膝は単独で動いているわけではありません。

膝の動きには、

  • 股関節
  • 足首
  • 骨盤
  • 体幹
  • 上半身

など、全身の動きが関係しています。

特に近年は、デスクワークやリモートワークの増加により、股関節が十分に動かなくなっている方が年代を問わず増えています。

股関節が動きにくい状態では、本来股関節が担う動きを膝が代わりに行い、負担が集中することがあります。

スクワットで主に使う大腿四頭筋は、とても重要な筋肉。

だからこそ私は、この筋肉を鍛える前に、股関節や身体全体が動きやすい状態かどうかも確認しています。

筋肉だけを見るのではなく、「どのように身体を使っているか」を観察することが、結果として膝への負担を減らす近道になることも少なくありません。

 


私が考える「筋トレ」とは

私は、筋トレを「筋肉を鍛える作業」とは考えていません。

身体を観察し、その人が無理なく、安全に動ける方法を一緒に見つけていくプロセスだと考えています。

同じ「膝が痛い」という症状でも、
年齢、生活習慣、仕事、身体の使い方によって原因も負担のかかり方も違います。

だから提案する運動も、一人ひとり変わります。

 

ボディポテンシャル資格取得講座でも最初に学ぶ言葉があります。

「骨格や関節を動かすのも、邪魔するのも筋肉。」

筋肉だけを見るのではなく、骨格や関節、そして身体全体のつながりを観察する。
私はこの視点が、安全で効果的な運動指導につながると考えています。

これは一般の方の健康づくりだけでなく、運動指導や介護、ヨガ、フィットネスなど、人の身体に関わる仕事をされている方にも大切な視点ではないでしょうか。

 


まとめ

スクワットはとても良い運動です。

しかし、
「膝が痛いなら、とにかくスクワット」
ではありません。

大切なのは、
今の身体の状態に合った運動を選び、安全に続けられることです。

身体を観察しながら運動を調整することで、膝への負担を減らし、日常生活の質(QOL)の維持・向上にもつながります。

 


個人セッションのご案内

膝や腰などに不安がある方には、身体の状態を確認しながら、その方に合った運動や身体の使い方をご提案しています。

「今の運動が自分に合っているのか知りたい。」

そんな方は、お気軽に個人セッションをご相談ください。


身体の見方を学びたい方へ

ボディポテンシャル資格取得講座では、「この運動を教える」ではなく、「身体を観察し、その人に合った運動を提案する視点」を基礎から学びます。

フィットネスインストラクター、ヨガ講師、トレーナー、介護職、健康指導に携わる方など、運動を仕事にされている方はもちろん、ご自身やご家族の健康づくりに役立てたい方にもおすすめです。

身体の見方が変わると、運動の伝え方も変わります。

MBCスクール
主宰 武内美紀


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